パネル討論東北大学空手道部の新たな50年に向けて

 

1.各パネリストのプレゼンテーション:

S36 菅谷

 一、空手道部の存続が大前提

 ・わが国で少子化・高齢化社会が大きな問題となっているが、この問題は我が空手道部・OB会の存続と相通じる問題です。

 ・新入部員の獲得と卒業までの継続在籍の確保……OB会予備軍の拡充

二、OB会の存続と発展に必要なものは何か

 ・過去50年の歴史の中で同好会への流れや時代の変化で部員数の減少による存続の危機の時期があったが、それを如何にして乗り越えてきたか

 ・何故東大や京大は大人数の部員を抱えることができるのか、それと比較して東北大に欠けているものは何か

三、部の存続と発展のためOB会としてできること

 ・OB会の目的……「会員相互の親睦を図ると共に空手道部の発展に資すること」

 ・これを踏まえてOB会は何をなすべきか。理想ではなく実現可能な施策を着実に実行すること

 ・時代の変化に対応できないものは淘汰される……時代に即したOB会運営と施策。

 ・空手道部に対しOB会としてできること

@運営費の援助、A部員の精神的な支援(多面的なコミュニケーション)

  B空手の技術的指導の強化(現役OBの出張指導)

   上記3点の具体的方策について

 四、近年のOB会活動活性化の成果

 ・OB会役員の若返り

 ・西日本支部の設立

 ・ホームページの開設

S47 國分

1.OB会への想い

 社会人以降の会社関連のOB会は完全な親睦会で、現役の参加の場合は現状報告などOB主役の会となるが、大学の体育会などのOB会は、

@自分が辿った青春の思い出を懐かしみ旧友との絆と再会を楽しむ。

A後輩がこれから辿る新たな青春の道を支援・応援するため金銭的・精神的サポートを行なう。

という2面性を有している事は明白であり、主役がOBの場合と、現役が主役の場合の双方があると考える。突き詰めればどちらをより重視するか、ケース・バイ・ケースでどのような盛り上げを各人が演出していくかに集約されると思う。例えば後輩の就職相談に乗り、場合によってはリクルートするのも良いのではないか。

2.今後について

 今、私の1年先輩の方々がOB会をリードしていただいており、若手事務局とのコンビネーションも良く、大変有り難くまた会が盛り上がっていくのが実感でき、大変好ましく、46年卒の“和と輪”を出来るだけ長く続けていただければと思っている。OB会に参加して感じるのは、今まであまり参加してない自分が悪いのではあるが、先輩、後輩で知らない人が多い点であり、参加の回を重ねて、増やしていくのか、もっと、何か上手い会合の中での運営のアイデアによるお互いの知己を深めていくのか中々難しいなと感じている。この点、今回のパネル討論は良い試みだと思う。本来は近くにいれば練習のお手伝いとか見学・激励などが出来るのだが、技術も落ち・体力もなくなり、遠くに散っているOBとしては、“OBとはなんぞや”などの意見交換による方向付が今回出来れば、好ましい結果も見出せるように思います。

 

S57 古谷野

業務出向で30年ぶりに群馬に戻りました。先日高校時代の同期が歓迎会をしてくれました。中には30年ぶりに再会の仲間もおりましたがその空白は感じない自然な会でした。今年4月の拡大同期会もそうでした。25年ぶりの再会でしたがその時代の4年生(小生たち)から1年生までの4学年17名が小畑監督のもとに集まり同じく25才年取った仲間が25年前と同じ空気で大いに盛り上がりました。

OB会はどうあるべきか、ということよりOB会員が学生時代を振り返った時に皆が集える器があるかという程度で良いと思います。そういう器を必要としないOB会員に強制しても意味がありません。また今は興味がなくてもふと自分を振り返る時があり、その自分の思い出と空手部が重なる時があることもあります。そんな時に思い出を共有できる仲間、会があるのは嬉しい事かと思います。

OB会はそんな故郷のような自然な集まりであればよいのでは感じます。

 

H18 風張

OB会には現役の支援と、現役とOB・OB同士の交流・情報交換の2つの役割があると考えます。まず現役支援は、特に東北地方以外への遠征の場合は交通費・宿泊費で5万円前後かかり、学生の身には大きな負担です。遠征費の工面のため、練習時間を削りアルバイトをするなど本末転倒なことにもつながり、現役生には本業にしっかり打ち込んでもらうため支援体制の確立が必須と考えます。加えてOBの大会での応援等により、試合への鼓舞と安心感・一体感を与えることができると考えます。

現役生に対してOBは就職や社会活動に関する情報提供をすることができ、またOB会は諸先輩方、同期、後輩たちとの交流・情報交換の場としても非常に重要だと考えています。個人的にはこのつながりはとても有意義なものと捉えており、私たちの後輩たちにも是非参加していただきたく思っております。

以上のような活動を行なうためには、諸先輩方のご指導のもと、私ども若手も後輩たちに積極的に働きかけることで、創部50年を迎えた今を新たなスタートとして、今後も継続的に発展させていかなければなりません。諸先輩方と同様、私たちも稽古、試合、飲み会と共に苦楽を共にし、同じ時間を共有してきました。これまで築きあげた関係をよりよい形で継続し、また異なる世代の方々とも発展させていけるように願い、実行していきたいと考えています。

 

2.パネリスト間の討議

菅谷:

古谷野さんのOB会は故郷」に感銘を受けた。私は山一証券出身だが山一が倒産したので同社出身者にとって故郷がない。先日仲間に声を掛けて会を作った。この会が謂わば故郷になる。

OB会にとって仲間に声を掛けることが大切。また役員を更に若がえさせるべきである。

國分:

声掛けにプラスして「餌付」も必要。

古谷野:

恩師が会合に来ると更に盛り上がる。拡大同期会の時に小畑監督に感動して戴いたがその感動に我々も感動した。

風張:

現役時代に「餌」を貰った覚えがないので、後輩には是非お願いしたい。

 

3.会場からの意見と討議

・現役の部員(女子部員も含め)増やすのが一番大事だ。増やす努力をすべきだ。

→新人勧誘の立て看制作費用を今春援助した

→仙台事務局設立の重要な目的の一つは現役との接点・支援の「見える化」である

・道場移転が計画されているが学生にとって不便な場所では困る。是非川内の便利な場所に。

→空手道部単独では大学との交渉にも限界があるので、同様に困っている例えば合気道部あたりと共同を考えてはいる。

・道場も故郷となる。道場建設を支援すべきだ。

→現役からはハードよりはソフトの支援が欲しいとの要望もある。

・技術支援が大事だ。青木監督時代はしっかりしていた

→大学院進学のOBをコーチに任命し、コーチ代を支給する。橋本副会長も指導に行っている。

 小畑総監督には和道会とのパイプをお願いしている。

 

4.ファシリテーターによる総括

皆さんの共通の想いが整理された。「現役無くしてOB会なし」「OB会はOBの故郷」そこで何をしなければならないのか?現役への経済的・精神的支援を通じて現役にOB会の存在を知らしめ、将来のOB会員の自覚を持ってもらう。一方、現役への経済的支援のためにはOB会費納入者を増やして財政基盤を強化しなければならないが、そのためには同期(と前後のOB)に常に声を掛け各自各様の「餌付」も試みよう。試合への応援は効果的な精神的支援の一つなので是非実行に努めたい。今日のテーマは重い課題であり、この場で結論を出せるものではないが、少なくとも討議を通じて参加者全員が共通の問題意識を持つことが出来たのは大きな成果だと思う。

以上

注)文中敬称略